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小型の宇宙船といわれる宇宙服

宇宙服が小型の宇宙船と呼ばれる理由とは?

宇宙服というと、宇宙飛行士が宇宙ステーションやスペースシャトルから出て宇宙空間でなんらかの作業をする時に着る服というイメージがあります。
もちろんそれも宇宙服なのですが、実は宇宙で着る服はすべて宇宙服と呼ばれていて、ステーションの中で着用するための宇宙服も特別に用意されているのです。
とはいえ、やはり注目すべきは船外活動をする時に使っている宇宙服です。
船外に出れば空気はなく真空となりますので、常に酸素を供給する必要があります。

また、地球が大気圏で守られているような状況ではありませんので、極度の温度差が生じます。
太陽光線が当たるところではすぐに120度くらいまで上昇しますが、日陰だと一気にマイナス150度くらいになることもあります。
そして、大気がないため放射線や紫外線などをダイレクトに浴びてしまうというのもポイントです。
このように、船外は非常に危険な状況にありますので、宇宙飛行士を守るためのすべての装備が宇宙服に詰め込まれているわけです。

そのため宇宙服は小型の宇宙船とも呼ばれていて、服を着ていれば宇宙船の中にいるのと同じような環境を持てます。
万が一の事故が起き、宇宙ステーションから宇宙飛行士が分離してしまっても、多少の時間は宇宙空間で生きていられるようになっているほどです。

宇宙服の構造について

小型宇宙船とも呼ばれる宇宙服は、上下に分かれた形となっていてヘルメットとグローブを装着して全身をカバーします。
服の生地は実に14層にもなっていて、それぞれの層で熱や放射線などを防御できる構造が採られています。
そして、この宇宙服を着た状態で背中に生命維持装置を背負います。
この装置には、たくさんのセンサーが搭載されていて、現状を検知して適切な量の酸素を送るなどの仕組みが採られています。
また、風を送るファンや水を貯めるタンクや酸素タンクなどもあります。

空気を送り込むことで、宇宙服の中は0.3気圧に保たれています。
地上の気圧は1気圧ですが、そこまで高めると服が膨らんでしまうため低気圧にしているのです。
そこで、宇宙飛行士は船外に行くまでに時間をかけて0.3気圧で呼吸ができるように、体を慣らしておく必要があります。

船内与圧服について

船内で着る服の中に、船内与圧服というものがあります。
これは主に地球から宇宙に出る時、逆に地球に帰還する際に着用するものです。
飛行時になんらかの問題が起こって、船内の気圧が極端に下がってもこの船内与圧服を着ていれば対処できるわけです。
船内与圧服にはパラシュートが搭載されていることもあり、万が一の時に緊急脱出できるような装備が取り付けられています。