日本で打ち上げられているロケットの構成
現在の日本で用いられている、スタンダードなロケットがH-IIAロケットです。
2001年に試験機が打ち上げられてからすでに20年以上が経過しており、2023年にその役目を終える予定でした。
しかし、後継機の打ち上げがまだ行われていないため、H-IIAロケットの現役期間は延びるかもしれません。
日本で長らく用いられてきた信頼性の高いH-IIAロケットの場合、ロケットは第1段液体燃料ロケット、固体ロケットブースター、第2段液体燃料ロケット、フェアリングの4つの部位に大きく分けられます。
H-IIAロケットのおよそ6割から7割ほどを占めている、最も大きな部位が第1段液体燃料ロケットです。
こちらはロケットの加速を担当している部分で、第1段液体燃料ロケットの力がなければ、巨大なH-IIAロケットを上昇させることはできません。
第1段液体燃料ロケットの両脇に設置されているのが、SRB-Aとも呼ばれる固体ロケットブースターです。
こちらは推力を補うための部位で、第1段液体燃料ロケットと固体ロケットブースターの力によって、H-IIAロケットは一気に大気圏を突破します。
第2段液体燃料ロケットは打ち上げの成功後、ロケットを予定の軌道に乗せるためのエンジンが搭載されている部位です。
フェアリングはロケットの先端にある部位で、ロケットで輸送する中身を守る役目があります。
打ち上げの際には音、振動、摩擦熱などが発生するため、これらから中身を守ってくれるフェアリングは欠かせない存在です。
ロケットの部位に使われている素材
第1段液体燃料ロケットの多くを占めているのが、燃料である液体水素が詰められている液体水素タンクと、酸化剤の液体酸素が詰められている液体酸素タンクで、これらはアルミ合金製です。
また、第2段液体燃料ロケットも、第1段液体燃料ロケットと同様に、アルミ合金製の液体水素タンクと液体酸素タンクが多くを占めています。
フェアリングもアルミ合金製であり、軽さと強度を両立しているアルミ合金はロケットを造る上で欠かせません。
ただし、フェアリングの先端の円錐部分に関しては、熱を抑えるためシリコン系の断熱材も使用されています。
固体ロケットブースターの表面に使われているのは炭素繊維強化プラスチックで、こちらも軽さと強度を両立している素材です。
2種類のロケットの燃料
ロケットの燃料は固体燃料と液体燃料の2つに大きく分けられ、H-IIAロケットでは主に液体燃料が使用されています。
液体燃料の場合、液体水素を始めとした燃料と液体酸素を始めとした酸化剤は別のタンクに入れられており、それぞれが燃焼室に送られて推進力を発揮するという仕組みです。
近年は取り扱いが難しいが誘導制御をしやすい液体燃料の方がメインで用いられているものの、一方でロケットブースターには固体燃料が用いられることが多く、ロケットの打ち上げでは両方の燃料が活躍しています。