NASAとAxiom Spaceと提携して開発した次世代宇宙服
宇宙服は技術の進歩によって、さまざまな改良が加えられています。
NASAはAxion Spaceとの共同開発によって、次世代宇宙服を発表しています。
「AxEMU」という名称のもので、より動きやすく安全性を高めているのが特徴です。
もちろん、今までの宇宙服も動きが取りやすく、さまざまな事態に対処できる機能を持っていました。
しかし、NASAは2020年代の後半に月の裏側への有人での着陸を目指しているため、その実現のためにより質の高い宇宙服の開発が求められいました。
というのも、NASAでは月の裏側にある南極エリアで宇宙飛行士が活動することを計画していて、そこは表側に比べると非常に過酷な環境となっているからです。
この計画はアルテミス計画と呼ばれています。
地球から見て裏側に当たるため、地球との交信が難しいより厳しいミッションとなることは確実です。
しかも、太陽光線が当たらない時間と当たる時間の温度差や放射線の量の違いなどが非常に大きく、船外活動をするのにはあまりにもキツイ環境となります。
また、アルテミス計画では単に着陸するだけでなく、アポロ計画と同じように月面での宇宙飛行士の活動を見込んでいます。
宇宙飛行士が宇宙空間に浮いた状態ではなく、足を月面に付けて活動するためにはより動きやすい宇宙服としなければなりません。
そしてアルテミス計画によると、月でのミッションを成功させたら、今度は火星への有人飛行を行う予定でいます。
月よりもさらに過酷な状況となる火星での活動も見据えて、この次世代宇宙服が作られているというわけです。
アポロ計画時の宇宙服から進化したポイントとは?
次世代宇宙服は、あらゆる面で初めての月面着陸を成し遂げたアポロ計画の時よりも進化しています。
特に、細かな動きをしやすいよう柔軟性を備えているのが特徴です。
こうした特性を確保しつつ、断熱性を高めるための素材を開発して使用しています。
また、より快適な活動ができるよう、操作しやすいライトや高画質カメラの搭載などもなされ、ハイテクノロジーの塊となります。
よりコンパクトになりつつも細かな調整ができ、長時間のミッションにも対応できる生命維持システムも搭載されています。
こうした次世代宇宙服により、現在6時間程度の船外活動ができる状態から、8時間の活動ができるまでに引き上げられると考えられています。
また、次世代宇宙服は幅広い体格の人に合わせると共に、女性でも装着できる設計となっています。
これにより多数の宇宙飛行士を効率よく宇宙に送り込むことができますし、女性の月面着陸を実現するのに役立ちます。