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ジェット機で宇宙に行けない理由とは

ジェット機のエンジンの仕組み

一般的な飛行機は、ジェットエンジンを積んでいます。
非常に推力が強く、高度も速度も容易に稼ぐことができます。
そこで浮かんでくる疑問が、このジェットエンジンを単純にパワーアップさせたら、そのまま宇宙に飛んでいけるのではないか?というものです。

しかし、結論から言うとジェットエンジンでは宇宙に行くことができません。
というのも、ジェットエンジンは空気が存在することが絶対条件となって稼働する構造となっているからです。
ジェットエンジンでは、推進力を得るために、エンジンの周囲から空気を強制的に吸い込んで酸素を得つつ、そこにジェット燃料を噴射して点火させるという構造が採られています。
ジェット燃料と酸素が混合することで強い爆発力が得られ、その爆発によって高圧の気流もしくはガスが後ろ側に吹き出すことで、推進力が生まれます。
この推進力で前に進むことによって、翼の上下の空気の流れの差が揚力を、つまり上昇する力を生み出します。

こうした仕組みで飛行機は前に進み、上昇して空を飛ぶことができるわけです。
ジェットエンジンでは、前に進むにしても上昇するにしても空気の力を活用しないといけないわけです。
しかし宇宙空間は真空ですので、ジェット燃料を燃焼させて飛行力を作ることはできませんから、宇宙を飛ぶことは不可能なのです。

宇宙に飛び立つのに使われるロケットとの違い

一方のロケットは、空気のない宇宙空間でも推進力を得られるよう特殊な構造をしています。
もちろん、燃料を燃焼させてガスを噴射させることによって推進力を得るという、基本的な考えは一緒です。
しかし、燃料に酸化剤を混ぜることによって、酸素がないところでも燃料を燃やすことができるようにしています。

そのため、ロケットには燃料タンクとは別に酸化剤を貯めておくタンクも備えられています。
燃焼させる時には、燃料をロケットエンジンに送り込むのと同じタイミングで酸化剤を噴射することで、酸素を人工的に作り出しているのです。
そして、燃焼爆発によって生じたガス噴射の力が反作用効果を生み出して、推進力を得ることができます。

ロケットは地上から見て真上もしくは真上に近い状態で発射され、上昇しています。
これは空気の力を借りることなく、できるだけ早く大気圏を抜けるためです。
というのも、ロケットの場合は飛行機のように翼を使って揚力を生み出して上昇する必要はないからです。
そのため、ロケットは飛行機のような大きな翼がなくても飛ぶことができます。

ただし、スペースシャトルには飛行機のような翼が付いています。
これは揚力を得るため、つまり離陸するために使うものではありません。
宇宙から帰還して着陸する時に滑空する必要があるので、翼を設けているだけなのです。
そのため、同じ翼でも使用目的が飛行機とは異なる面があるわけです。