スペースシャトル運搬用の車の存在
人間の力が及ばない空間である宇宙に何人もの人を送り、たくさんの物資を運ぶというミッションには、たくさんの高度な技術が必要とされます。
その代表的なものが、スペースシャトルやロケットです。
非常に大きく重たい乗り物ですので、自動車を作り動かすようには行きません。
ロケット打ち上げの瞬間を見ると、すでに発射台に設置されていて飛んでいくばかりとなっていますが、そこに行くまでの道のりも大変なものがあります。
現地でパーツを作るわけにはいきませんので、発射場から遠く離れた工場でパーツを組み立てて大きなボディーを完成させます。
その後、道路を通ってロケットやスペースシャトルが運ばれていき、寝た状態から引き起こされて発射台に正確に設置されます。
その状態から、特殊な燃料を多量に注入して、動作に問題がないかどうかを確かめた後に打ち上げとなります。
こうした一連の流れをスムーズにする、というよりも発射を可能にするために欠かせないのが、ロケットやスペースシャトルを運搬する車の存在です。
非常に重たく巨大な物体ですので、一般的な運搬車では到底載せることも移動させることもできません。
また、万が一大きな衝撃を与えたり落下させたりしたら、ロケットの安全性が脅かされます。
そこで、巨大なロケットを載せても、細かな動きを取ることができて安全に発射台まで運べる特殊な車両が必要なのです。
クローラー・トランスポーターの特徴とは?
今までにたくさんのロケットやスペースシャトルを宇宙に送り込んできたNASAは、この運搬ミッションを成し遂げるために、クローラー・トランスポーターという特殊車両を開発、利用しています。
1960年代にはすでにこの初代機が活躍していて、現在ではクローラー・トランスポーター2が配備されています。
このクローラー・トランスポーターは、採掘場で利用されるような巨大なキャタピラーを持つ車両が移動を担います。
といっても、一つの車両で移動するのではなく、合計で4つの車両がそれぞれ自動車の4つのタイヤを構成するように作られています。
そして、これらの4つの車両が巨大なプラットフォームを担ぐようにして接続されています。
このプラットフォームにロケットやスペースシャトルを設置して、安全に運搬できるようになっています。
そして、このプラットフォーム条にモバイルランチャーと呼ばれる移動式の発射台を設けて、そのまま発射場まで移動できるというのが特徴です。
時速1.6キロから3.2キロとゆっくりの移動となりますが、なんと9,000トンを超える重量を運搬できる能力を持ちます。
エンジンはディーゼル式で2基搭載されています。このエンジンから生まれる力は、2750馬力にもなります。