飛行船にはヘリウムガスが使われている
飛行船は、プロペラやジェットエンジンのような推進力と上昇力を生み出すものを使って飛ぶものではありません。
空に浮かせて、前後左右に動くためだけにプロペラなどの動力を使っています。
空に浮くための方法としては、空気よりも軽いガスを大量に内部に充填する方法が採られています。
そのため飛行船は上部が非常に大きな円錐形をしていて、そこにガスを詰めているのです。
一般的に機体の後ろには尾翼が数個取り付けられていて、浮いている際の安定性を保つ役割を果たします。
動かせるタイプの尾翼が取り付けられている場合は、この尾翼の操作によって機体の向く方向を変えることができます。
どんなガスを詰めているかというと、現在はヘリウムガスを使っています。
ヘリウムガスは非常に軽い気体で、しかも生産コストがそれほど高くなく取り扱いもしやすいというメリットを持っています。
そのため、風船やアドバルーンを膨らませるためにもヘリウムガスが使われています。
飛行船はこのガスを使って浮遊することによって飛行します。
そのため、少なくても浮いてるだけであれば原則として動力を必要としませんし、前後左右に動くのにも軽い力で済みます。
ヘリコプターやジェットエンジンを付けた飛行機のように、多量の燃料を必要とすることがありません。
また、飛行速度はゆっくりではありますが、同じ場所に留まる、もしくは低速度で通過することを得意とするという特徴も持ちます。
こうしたメリットを生かして、都市部における飛行船を使った宣伝活動や広報活動をしたり、上空からの観測をしたりするのに優れているわけです。
飛行船は、主にガス袋の構造によっていくつかの種類に分かれます。
ガス袋に竜骨を付けたものや、船体の骨格その物をアルミ合金などの皇室材料を使った構造などがあります。
現在ではそれほど飛行船を見る機会はなくなっています。
しかし、成層圏まで到達する大型の無人飛行船を飛ばして、インターネットや携帯電波の基地局とする先進技術が開発されています。
災害に強く広範囲を低コストでカバーできることから、これからの飛行船の活用法として注目されています。
かつては水素が使われていたこともある
現在飛行船に使われているガスはヘリウムガスが一般的です。
昔は水素ガスが使われていましたが、水素ガスは可燃性のガスで、爆発力が非常に強いというリスクがあります。
実際、太平洋横断をしていたヒンデンブルク号が着陸する時に出火して水素ガスに引火し、そのまま大爆発を起こすという事故が生じました。
こうした痛ましい事故が起きたことから、水素ガスは使われなくなり、不活性ガスであり爆発や燃焼の恐れがないヘリウムガスが主流となっていったのです。