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理論的には現実可能な宇宙エレベーター

宇宙エレベーターとは何かを解説

SF作品などに登場する、地球と宇宙をつなぐ巨大なエレベーターは宇宙エレベーター、軌道エレベーターなどと呼ばれています。
宇宙エレベーターは、宇宙旅行の父とも呼ばれるロシアのロケット研究者、コンスタンチン・ツィオルコフスキーにより考案されたものです。
フィクション作品の中に登場するものというイメージが強いかもしれませんが、1959年、旧ソ連のユーリイ・アルツターノフにより発表された宇宙エレベーターの構想をベースに、色々な国が宇宙エレベーターを実現しようと動いています。

宇宙エレベーターが実用化されれば、大掛かりな打ち上げが必要なロケットに頼ることなく、安全に宇宙との行き来ができるわけです。
物資の輸送の効率化は一気に進みますし、宇宙開発が軌道に乗ってくれば民間人が宇宙エレベーターを利用して気軽に宇宙に行けるようになるでしょう。

宇宙エレベーターの基本的な仕組み

静止衛星から地球とその反対側に向けてケーブルを伸ばし、そのケーブルを伝う形で上下に移動するエレベーターを設置するというのが、宇宙エレベーターの基本的な仕組みです。
赤道上の高度36,000km付近を周回している人工衛星は、地球の周囲を地球の自転と同じ速度で回っており、地球から見ると全く動いていないように見えるため静止衛星と呼ばれています。

地球から見て常に同じ位置にある静止衛星は引力と遠心力のバランスが取れていますが、静止衛星から地球にケーブルを伸ばすと両者のバランスが崩れかねません。
そのため、宇宙エレベーターを建設するなら静止衛星のバランスを保つことが非常に大事です。
地球側だけでなく反対側にもケーブルを伸ばすのは、片一方にケーブルを伸ばすことでバランスが崩れるのを避けるためです。

現在どこまで研究が進んでいるのか

宇宙エレベーターの建設は全くの夢物語だと評価されてきたわけではなく、かなり昔から理論的には実現可能だとされていました。
もっとも、現実問題として工事に耐えられるケーブルがなかったため、建設の話が進むことはありませんでした。
しかし、1991年にカーボンナノチューブが発見されたことによりケーブルの問題が進展を見せ、宇宙エレベーターを建設できる可能性が高まったため、現在は多くの国が宇宙エレベーターの実現に向けて動いています。

ただ、宇宙エレベーターの実現のためには乗り越えなければいけないハードルがまだまだ多く、建設時期、建設場所なども決まっていないのが実情です。
工事に耐えられるケーブルは宇宙エレベーターにとって必須ですが、現在のところ、実現できているカーボンナノチューブの長さは数十センチ程度です。
このように宇宙エレベーターの完成はまだまだ先の話と思われますが、新たな発明などをきっかけに、今後一気に計画が進んでもおかしくはありません。